会長挨拶

第45回 日本脳卒中の外科学会学術集会
岡山大学大学院 脳神経外科
伊達 勲

伊達勲

第45回日本脳卒中の外科学会学術集会を、2016年4月14日(木)〜16日(土)の3日間、札幌市(ホテルロイトン札幌、さっぽろ芸文館、札幌教育文化会館)で開催させていただきます。岡山大学が伝統ある本学会を担当するのは初めてであり、教室員、同門にとりまして大変光栄なことと存じます。地元岡山と札幌は遠く離れているとはいえ、近年のITの発達によりコミュニケーションは瞬時に取れるので、会員の皆様に寄与できる実りある学会にすべく準備をして参りました。本学会は例年通り、第41回日本脳卒中学会総会(宝金清博会長、北海道大学脳神経外科教授)と第32回スパズムシンポジウム(糟谷英俊会長、東京女子医科大学東医療センター脳神経外科教授)との合同開催で、Stroke 2016として開催されます。

本学会のテーマを「年齢を考慮した脳血管外科」といたしました。Stroke 2016全体のテーマである「人口転換と脳卒中」に関連し、外科治療の結果を左右する重要な要素が年齢です。主たる議論は、高齢に関するものですが、新生児・乳児・小児においても年齢の要素は重要です。

シンポジウムではこれらに関係する話題をいくつか採りあげました。特に未破裂脳動脈瘤はクリッピング、血管内治療のいずれにも年齢が重要な要素です。また年齢を考慮した脳血管外科の周術期管理について、麻酔科や腎臓内科の先生のご意見を伺うことにしました。小児の脳血管障害の現状についてのシンポジウムでは、血管の発生、胎児の脳出血、もやもや病、AVMの治療を討論したいと思います。

その他のシンポジウムでは、脳血管外科の新しい技術や治療を採りあげる目的で、「バイパスの一工夫」「脳血管外科におけるシミュレーションの有用性」「脳卒中の外科治療のイノベーション」を企画していますので、脳血管外科の最先端を議論し学んでいただければ幸いです。

本学会は外科医としての技術的な面を議論し学ぶ重要な機会です。若手脳神経外科医の為の教育的ビデオセッションとして、3Dビデオセッションを学会初日のほぼ1日をかけて専用の大きな部屋を用意して行うことにいたしました。このセッションでは、若手の教育を主な目的としますので、必ずしも非常に高い技術を要する手術ばかりでなく、基本的なクリッピング術、AVM摘出術、CEA、バイパス術、などのビデオを7演題ずつ3セッションにわけて準備しました。どのセッションでも各種の手術が学べるように配慮しています。

招待講演は3名にお願いしております。ヘルシンキ大学のDr. Juvelaは、未破裂脳動脈瘤の論文をStrokeやNeurologyに発表されており、本学会に相応しい講演をしていただけると思います。Barrow Neurological InstituteのDr. Nakajiは、Dr. Spetzlerの右腕ともいえる方で、最近Neurosurg FocusにAVMに関する優れた総説を発表されています。最先端の生物学的あるいは遺伝子解析とその理解に基づく治療法について講演いただきます。Yonsei大学のDr. Huhには技術面から見た脳動脈瘤手術の講演をしていただきます。5000例を越えるご自身の施設の経験から得た動脈瘤手術のポイントをお話くださいます。3名の講演は会員の新しい情報収集に大いに寄与することと思います。

今回多数の演題応募をいただき、シンポジウム34題、3Dセッション21題、一般口演324題、一般ポスター206題、の計585題となりました。演題応募くださいました皆様に感謝申し上げますとともに、時間はタイトではありますが、発表・討論とも有意義な時間を過ごしていただきますよう、祈念いたします。

札幌の4月はまだ春浅い時期と思います。暖かい岡山から教室員一同札幌におもむき、皆様を温かくお迎えしたいと存じます。多くの皆様の御参加をお待ち申し上げております。